
「ジュベルックとリジュラン、結局どちらを先に受ければいいのでしょうか」「両方やる意味はありますか」──カウンセリングで、私が最も多くいただくご質問です。どちらも肌そのものを育てる肌育注射(スキンブースター)として並べて語られるため、迷ってしまうのは当然だと思います。
当院はジュベルックとリジュラン(ブラック/i/S)の両方を取り扱っています。ですから、どちらか一方に誘導する立場ではありません。本記事では、効果が出るまでの時間と持続の長さという2つの時間軸から、あなたの肌悩みのゴールに合う選び方と併用の組み立て方を解説します。
第1章 ジュベルックとリジュランの決定的な違いは「効果が動き出す速さ」と「残る長さ」

結論からお伝えします。ポリ乳酸(PDLLA)製剤とPDRN製剤という素材の違いはありますが、両者の本質的な違いは時間にあります。変化がどれだけ速く動き出し、どれだけ長く残るのか。この2つの時間軸を押さえれば、選び方はほとんど決まります。
まずは2つの肌育注射の全体像を、時間の観点だけで整理した表をご覧ください。
| 項目 | ジュべルック | リジュラン |
| 効果の立ち上がり | 2〜3ヶ月かけてゆっくり | 比較的早期に実感しやすい |
| 持続期間 | 12〜16ヶ月 | 3〜5ヶ月 |
| 通うペース | 1ヶ月おきに計3〜4回 | 2〜3週間おきに計4回 |
| 向く目的 | コラーゲン生成で凹凸の土台を作り直す | PDRNで傷んだ肌を立て直す |
片方は速く、もう片方は長い。PDRN製剤とPDLLA製剤の対照関係が、本記事の骨格です。
1-1. リジュランは早く実感でき、ジュベルックはゆっくり効いて長く残る
リジュランは比較的早期に変化を実感しやすく持続期間は3〜5ヶ月、ジュベルックは2〜3ヶ月かけてゆっくり効き12〜16ヶ月持続します。
この一文だけ覚えて帰っていただければ、疑問の大半は解けるはずです。
ここで大切なのは、「早い=優秀」ではない点です。早く立ち上がる効果は早く抜け、ゆっくり立ち上がる効果は長く残ります。効果の実感時期と持続期間は、多くの場合トレードオフの関係にあるのです。
なお本記事の持続期間・施術回数・施術間隔は、すべて当院が公式にご案内している目安です。
1-2. 時間差が生まれる理由|「補って修復する」リジュランと「自前で作らせる」ジュベルック
なぜ、これほど効果の出方に差が生まれるのでしょうか。理由は、肌への働きかけの方向がまったく違うからです。
リジュランの主成分はPDRN、ポリヌクレオチド(PN)をさらに細かくした断片です。PNはサーモン由来のDNAから取り出される成分で、PDRNはその断片として傷んだ組織の修復や細胞の再生を直接後押しします。入れた分がそのまま働きます。だからこそ、変化の兆しが比較的早く出てきます。
一方のジュベルックの主役はポリ乳酸(PDLLA)で、少量の非架橋ヒアルロン酸が加えられています。ポリ乳酸そのものが肌をふっくらさせるわけではありません。線維芽細胞──肌の奥でコラーゲンをつくる工場のような細胞──を刺激し、コラーゲン生成を促します。つまり、線維芽細胞が動き出してコラーゲン生成が進むまで、あなた自身の肌が新しい土台を作るのを待つ施術です。
家の工事にたとえてみましょう。PDRN製剤は「出来合いの資材を運び込み、傷んだ箇所をその場で補修する」やり方、PDLLA製剤は「敷地に資材工場を建て、自前で資材を作れるようにする」やり方です。工場が動き出すまでは静かですが、動き出せば供給は長く続きます。
【専門家コメント】この時間差を知らないまま受けると、「効果がなかった」と誤解されやすいのがジュベルックです。1回目の直後に鏡を見て変化が乏しく、そこでやめてしまう。私が最も避けたいのはこのパターンです。時間軸を先に共有しておくことは、施術そのものと同じくらい大切だと考えています。
1-3. 優劣ではなく「いつまでに・どれくらい持たせたいか」でジュベルックとリジュランは決まる
では、どちらを選ぶべきか。判断は「優れているのはどちらか」ではなく、次の3つの問いで決まります。
- いつまでに変化がほしいのか(ゴールの期日)
- どれくらいの期間維持したいのか(持続期間の希望)
- どのくらいの頻度で通えるのか(施術間隔と施術回数の現実性)
この3つがはっきりすれば、答えは自然に絞られます。3ヶ月後に人前に出る予定があるなら、立ち上がりに2〜3ヶ月を要するポリ乳酸(PDLLA)製剤を主役に据えるのは現実的ではありません。逆に1年を通して肌質改善を安定させたい方には、数ヶ月ごとに通い続ける設計が負担になりがちです。ダウンタイムを含めた逆算も欠かせません。
当院は両方を扱っていますので、どちらか一方をおすすめする記事ではありません。悩み別の選び方は第4章、組み合わせの設計は第5章で解説します。
第2章 ジュベルックとリジュランの中身|PDLLA製剤とPDRN製剤は何が違うのか
時間差の理由を正確に理解していただくために、この章では中身に触れます。結論として、ジュベルックはPDLLA(ポリ乳酸)製剤、リジュランはPDRN製剤で、素材そのものが違います。細かなスペックより、「何を入れているから、そう働くのか」だけを押さえてください。
2-1. ジュベルックの中身|1本50mg中 ポリ乳酸42.5mg+非架橋ヒアルロン酸7.5mg
ジュベルックはPDLLA(ポリ乳酸)を主体とした製剤です。当院で使用しているものは、1本50mg中にポリ乳酸42.5mgと非架橋ヒアルロン酸7.5mgが配合されています。
ポリ乳酸は体内で徐々に分解・吸収される素材です。注入されると肌の中で穏やかな反応を起こし、線維芽細胞を刺激してコラーゲン生成を促します。線維芽細胞が働くほど、コラーゲン生成も進みます。非架橋ヒアルロン酸は、注入直後のなじみと初期のうるおいを担う役割です。
ポリ乳酸(PDLLA)製剤の規格は部分2cc/全顔4ccが基本です。「全顔だと何cc必要ですか」とよくご質問をいただきますが、当院では4ccが全顔の目安です。
適応は、毛穴・ニキビ跡・シワ・たるみといった皮膚の凹凸、肌のハリ・弾力、トーンアップです。「足りない構造を作り直したい」悩みと相性のよい製剤だとお考えください。
もう一点、重要な特徴があります。この製剤はポリ乳酸が主体で、魚由来の成分ではありません。この違いが、受けられる方と受けられない方を分けます(第6章で詳述します)。
2-2. リジュランの中身|PDRN 2%とブラック・i・Sという3つの選択肢
リジュランは、PDRNを2%配合した製剤です。PDRNはポリヌクレオチド(PN)をさらに細かくした断片で、傷んだ組織の修復や細胞の再生を後押しします。当院で扱う3種類は、いずれもこのPDRN 2%で共通し、PDRNの濃度で優劣はつきません。
違うのは中身ではなく、狙う部位です。
- リジュランブラック:顔全体、体のシワ、首、頬・フェイスラインのたるみ、肌質改善(2.7cc/5.4cc)
- リジュランi:目元・目周り(小じわ、ちりめんじわ、菲薄化、クマ)(1cc)
- リジュランS:ニキビ跡(クレーター)、毛穴、手術跡(1cc)
つまり、PDLLA製剤は1剤で広い範囲をカバーし、PDRN製剤は3剤で狙い撃つ。同じスキンブースターでも、設計思想が構造から違うわけです。
同じポリヌクレオチド(PN)系の製剤としては、当院ではプルリアルデンシファイも扱っています。成分の細かな比較にご興味のある方は、[同じPN系製剤であるプルリアルとリジュランの違いを比較した記事]もあわせてご覧ください。
2-3. 同じ肌育注射でも、ジュベルックとリジュランは目指すゴールが違う
ポリ乳酸系のジュベルックも、ポリヌクレオチド(PN)系のリジュランも、まとめて肌育注射やスキンブースターと呼ばれます。ただし、同じ肌育注射でも目指すゴールは異なります。
PDLLA製剤が目指すのは「肌の土台を新しく作ること」です。線維芽細胞を動かしてコラーゲン生成を促し、ハリ・弾力を支える構造そのものを増やしていきます。対してポリヌクレオチド(PN)由来のPDRN製剤が目指すのは「傷んだ肌を立て直すこと」。作り直すのか、立て直すのか。この一語の差が、そのまま効果の出方と持続期間の差になって表れます。
なお、どちらもヒアルロン酸注入とは別枠のスキンブースターです。ヒアルロン酸注入はへこみにボリュームを足して形を変えますが、肌育注射が育てるのは肌の質そのもの。「シワを埋めたい」のか「肌を元気にしたい」のかで、選ぶ棚がそもそも違うとお考えください。
第3章 ジュベルックとリジュランの効果を月単位で追う|施術直後から1年後までの体感の違い

1ヶ月時点ではリジュランが先行して実感でき、ジュベルックは2〜3ヶ月以降に立ち上がって12〜16ヶ月残ります。この逆転構造が両者を分ける最大のポイントで、月単位のタイムラインに並べると差が一気に見えてきます。まずは、施術直後から1年後までの経過を並べた表をご覧ください。
| 経過時点 | リジュランの体感 | ジュべルックの体感 |
| 施術直後 | 針痕と赤み。うるおった感触が出ることも | 針痕に加え、非架橋ヒアルロン酸で注入部位が一時的にふくらむことも |
| 1週間後 | 内出血が引き始め、なめらかさを感じる方も | ふくらみが落ち着き、見た目は施術前に近づく |
| 1ヶ月後 | 2〜3回目を終え、変化を実感しやすい時期 | コラーゲン生成は途中で、大きな変化は出にくい時期 |
| 2〜3ヶ月後 | 計4回を完遂し、実感が高まる時期 | 線維芽細胞によるコラーゲン生成が進み、ハリ・弾力に変化が出始める |
| 6ヶ月後 | 効果が薄れ、メンテナンスを検討する時期 | 変化が定着し、安定して感じられる時期 |
| 12ヶ月後 | メンテナンスを重ねていれば維持できる | 持続期間の範囲内で、なだらかに効果が残る |
1ヶ月時点の評価が、ちょうど正反対になっていることにお気づきでしょうか。ここが誤解の生まれる地点です。
3-1. リジュランの時間軸|2〜3週おきに計4回、3〜5ヶ月かけて育てる
リジュランの集中ケア期は、2〜3週間おきに計4回です。持続期間は3〜5ヶ月で、完遂後は半年ごとのメンテナンスをご案内しています。
短い施術間隔で重ねるため、変化を細かく確認しながら進められるのが体験上のメリットです。間が空きすぎないぶん、「どこがどう変わったか」をご自身で把握しやすくなります。私が診てきた中でも、途中経過を実感できることが継続の後押しになる方は多い印象です。
一方で短所もあります。2〜3ヶ月のあいだに4回通う必要があり、仕事や家庭の予定との調整は決して楽ではありません。施術回数そのものより、短い施術間隔で通う頻度が負担になるという声をよくいただきます。
【施術を受けた患者さんの感想】「1回目では正直よくわかりませんでしたが、3回目のあとに久しぶりに会った同僚から肌をほめられて、初めて実感しました」。こうしたお声は珍しくありません。効果の実感時期には個人差がありますが、回を重ねるほど確かさが増していくのがこの製剤の性格です。
効果の出方や経過を詳しく知りたい方は、[リジュランの効果がいつから出るのか経過と持続期間を追った記事]もご覧ください。
3-2. ジュベルックの時間軸|1ヶ月おきに計3〜4回、2〜3ヶ月かけて立ち上がる
ジュベルックの集中ケア期は、1ヶ月おきに計3〜4回です。リジュランより施術間隔が長いぶん、施術回数も少なく済みます。効果は2〜3ヶ月かけてゆっくり現れ、持続期間は12〜16ヶ月。完遂後は半年ごとのメンテナンスが目安です。
ここで最もお伝えしたいのは、1回目の直後に変化が乏しくても正常だということです。ポリ乳酸が線維芽細胞に働きかけ、コラーゲン生成が形になるまでには相応の時間がかかります。効果の実感時期が遅いのは、失敗でも不良でもありません。
にもかかわらず、1ヶ月の時点で見切りをつけてやめてしまう方が一定数いらっしゃいます。時間をかけて作る施術を時間をかけずに評価してしまうのは、本当にもったいないことです。
もう一つ、注入直後に一時的なふくらみが出ることがあります。これは非架橋ヒアルロン酸によるもので、数日で落ち着くダウンタイムの一部です。最終的な効果とは別物だと理解しておいてください。
3-3. 1年間で見ると通院回数と体感カーブはジュベルックとリジュランでこう変わる
1年というスパンで並べると、両者の性格差はさらに際立ちます。数字で整理しましょう。
| 項目 | リジュラン | ジュべルック |
| 施術間隔 | 2〜3週間おき | 1ヶ月おき |
| 集中ケア期の施術回数 | 計4回 | 計3〜4回 |
| 効果の実感時期 | 比較的早期 | 2〜3ヶ月かけて徐々に |
| 持続期間 | 3〜5ヶ月 | 12〜16ヶ月 |
| メンテナンス頻度 | 半年ごと | 半年ごと |
リジュランは集中4回と半年ごとのメンテナンスで、波を打つカーブを描きます。上がって、少し下がって、また上げる。対してジュベルックは3〜4回で立ち上がったあと、なだらかに長く残るカーブになります。
どちらのカーブが良いかは目的次第です。短期集中でイベントに間に合わせたい方には前者、1年を通じて肌質改善を安定させたい方には後者が噛み合います。肌育注射は「何を入れるか」より「いつ、どう積むか」で結果が変わる施術なのです。
【専門家コメント】当院のカウンセリングでは、製剤の説明より先に「いつまでに、どうなっていたいか」をうかがいます。時間軸を最初にすり合わせておけば、不安になったときも「今はこの段階です」とご説明でき、患者さんも安心して続けられるからです。
第4章 肌悩みのゴールから逆算する|ジュベルックとリジュランはどちらが向いているか

ここからは実践編です。2つの肌育注射(スキンブースター)のどちらを選ぶかは、「何を、いつまでに、どうしたいか」というゴールから逆算して決まります。まずは悩み別の第一選択を一覧にまとめました。
| 肌悩み・ゴール | 第一選択 | 理由 |
| 毛穴の開き | ジュベルック | コラーゲン生成で内側から毛穴を支える |
| ニキビ跡の凹凸 | ジュベルック/リジュランS | コラーゲン生成かPDRNか、凹みの深さと期日で振り分ける |
| 小じわ・ちりめんじわ | リジュランi | PDRNで皮膚の薄い部位を立て直す |
| 目元の菲薄化・クマ | リジュランi | 目周り専用の規格で繊細に対応 |
| 首のシワ | リジュランブラック | 首を適応部位に含む |
| 全顔の肌質改善 | リジュランブラック | 顔全体の質感の底上げに対応 |
| ハリ・弾力の底上げ | ジュベルック | 線維芽細胞を刺激して土台から作り直す |
| たるみ感 | ジュベルック/リジュランブラック | 範囲と期日で判断 |
表はあくまで出発点です。同じニキビ跡でも、凹みの深さや範囲で答えは変わります。以下、理由も含めて解説します。
4-1. 毛穴の開き・ニキビ跡の凹凸を「埋めて均したい」ならジュベルックが第一選択
毛穴の開きやニキビ跡の凹凸を「埋めて均したい」なら、ジュベルックが第一選択です。凹凸は、肌の中で支える構造が足りない状態です。ですから、ポリ乳酸(PDLLA)が線維芽細胞を刺激して起こすコラーゲン生成で、土台を作り直すアプローチが素直に噛み合います。
毛穴の目立ちを「皮脂のせい」とだけ考えている方は多いのですが、実際は違います。加齢によるハリ・弾力の低下で毛穴が涙のしずくのように縦へ伸びる、乾燥できめが乱れて影が濃く見える、メイクが落としきれずに開きが目立つ。こうした心当たりのある要因が重なっていることがほとんどです。
だからこそ、表面を洗う発想ではなく、内側からハリを取り戻す発想が必要です。線維芽細胞に働きかけるポリ乳酸(PDLLA)製剤は、毛穴の悩みにまさに向いています。
ただし条件があります。ニキビ跡の凹凸についても、効果の実感時期は2〜3ヶ月先になるため、1ヶ月後に大切な予定が控えている方には向きません。期日が近い場合は、次の項以降の考え方に切り替えてください。
4-2. 小じわ・乾燥・目元の菲薄化やクマならリジュランi
小じわや乾燥、目元の菲薄化、クマが主訴なら、リジュランiが向いています。目元の皮膚はとても薄く、凹凸を作り込む施術より、PDRNで組織そのものを立て直すアプローチのほうが扱いやすいからです。
リジュランiの適応は、目元・目周りの小じわ、ちりめんじわ、菲薄化、クマです。皮膚が薄くなって下の色が透けるタイプなら、厚みを取り戻す発想が理にかなっています。
一方で、クマは種類によって最適解が変わります。黒クマ(影クマ)のように影が原因のものもあれば、こすり洗いなどの摩擦、メイクの落とし残し、乾燥による色素沈着が主因のものもあります。色素寄りであれば、当院ではルメッカのような光治療が候補になります。反対に、くぼみやたるみが影を作っているタイプでは、ヒアルロン酸注入で影のもとを埋めるか、ボルニューマ・ウルトラフォーマーMPTで引き締める方法が候補になります。補充する発想だけで考えず、原因から逆算することが大切です。
4-3. ニキビ跡のクレーター・首・フェイスラインは3種のリジュランの使い分けで決まる
ニキビ跡のクレーターや首、フェイスラインについては、3種のリジュランの使い分けで決まります。ニキビ跡(クレーター)・毛穴・手術跡ならリジュランS、首や顔全体・たるみ・肌質改善ならリジュランブラックが担当します。
多くの方が迷われるのは、「ニキビ跡はジュベルックとリジュランSのどちらなのか」という点でしょう。私は次の3点で振り分けています。
- 凹みの深さ:浅く広い凹凸は土台づくり向き、輪郭のはっきりした深い凹みは修復向き
- 範囲:頬全体など広範囲なら全顔で設計し、数か所なら狙い撃つ
- 期日:3ヶ月以内に結果が必要ならPDRN製剤を主体にする
もちろん、実際に肌を診なければ確定はできません。クレーターの改善度合いは、[リジュランSでニキビ跡のクレーターがどこまで改善するかを解説した記事]で詳しく解説しています。
4-4. 「いつまでに」で選ぶ|ジュベルック主体の土台づくり型とリジュラン主体の逆算型
「いつまでに」から逆算すると、選択はさらにシンプルです。3ヶ月以内に予定があるならリジュラン主体の逆算型、半年から1年先を見据えるならジュベルック主体の土台づくり型。これが基本の振り分けです。
逆算ではダウンタイムも必ず計算に入れてください。針痕は2〜3日、内出血は約1週間が目安です。大切な予定の直前ではなく、最低でも1週間以上前に施術を終えておくと安心です。施術間隔を考えると、複数回のプランはさらに前倒しが必要になります。
【カウンセリングのコツ】来院前に「いつまでに」「どこを」「どのくらい」の3点を紙に書いて持ってきていただけると、話が驚くほど早く進みます。「10月の式までに」「頬の毛穴を」「写真で目立たない程度に」といった具合です。ゴールが言語化されていれば、製剤ありきではないご提案ができます。
第5章 ジュベルックとリジュランの併用設計|順番・間隔・注入方法をどう組むか
結論からお伝えします。ジュベルックとリジュランは同じ肌育注射でも作用の仕組みが異なるため、併用は可能です。ただし、同日に無制限に重ねる施術ではなく、順番と施術間隔の設計が必要です。
5-1. 併用が成り立つのは、リジュランとジュベルックの作用が競合しないから
なぜ併用が成り立つのかというと、両者の働く方向が競合しないからです。ポリヌクレオチド(PN)由来のPDRNは傷んだ組織の修復を後押しし、ポリ乳酸(PDLLA)は線維芽細胞を介して新しいコラーゲン生成を促します。修復と新生は役割が重ならないため、2つのスキンブースターは足し算になりやすいわけです。
傷んだ壁を直しながら、並行して資材工場を立ち上げるようなものです。工事の種類が違うので、互いの邪魔をしにくいのです。
とはいえ、肌に針を入れる以上、何でも同時に重ねてよいわけではありません。1回あたりの負担、ダウンタイムの出方、通院の現実的なペース。併用の設計では、この3つを見ながら組み立てます。
当院は両方を取り扱っているため、どちらかに寄せるのではなく、組み合わせそのものをご提案できます。片方しか扱っていなければ、この選択肢は最初から存在しません。
5-2. どちらを先に受けるか|リジュラン先行型とジュベルック先行型

「どちらを先に受けたらよいですか」というご質問には、こうお答えしています。肌のコンディションが整っていない方はリジュランから、凹凸が主訴で期日に余裕がある方はジュベルックからが基本です。
| タイプ | 組み立て方 | 向いている人 |
| リジュラン先行型 | まずポリヌクレオチド(PN)由来のPDRN製剤で肌の状態を整える | 乾燥や炎症で肌が荒れている方、早めに変化がほしい方 |
| ジュベルック先行型 | 先に土台づくりを始め、必要に応じてリジュランを重ねる | 凹凸が主訴で、半年〜1年先を見ている方 |
| 部位分け併用型 | 目元はリジュランi、頬の毛穴はジュベルックと部位で分ける | 悩みが部位ごとに異なる方 |
リジュラン先行型を選ぶのは、乾燥や炎症で肌が荒れている場合です。土台が荒れたまま新しい構造を作っても、狙いどおりには進みにくいからです。まずPDRN製剤で整え、落ち着いてからPDLLA製剤へ移ります。
ジュベルック先行型は、ニキビ跡などの凹凸が主訴で期日に余裕がある方向けです。立ち上がりに時間がかかるポリ乳酸(PDLLA)製剤を先に始めておけば、待ち時間を有効に使えます。部位分け併用型は、悩みが1つでない方に無駄のない組み立てです。
【専門家コメント】ただし、一律の正解はありません。同日に受けられるかどうかも含め、肌の状態を実際に診たうえで判断します。順番を決めるのは製剤ではなく、あなたの肌とスケジュールです。
5-3. ジュベルックの注入方法は目的で変わる|手打ち・水光注射・ポテンツァ導入・睡眠ジュベルック
ジュベルックには注入方法が複数あります。当院でご用意しているのは、手打ち、水光注射、ポテンツァ導入、睡眠ジュベルックです。
原則はシンプルです。狙いを絞って深さをコントロールしたいなら手打ち、広範囲を均一にならしたいなら水光注射やポテンツァ導入が向きます。毛穴や凹凸の一部分を攻めるのか、全顔の肌質改善を狙うのかで、適した入れ方もダウンタイムも変わります。
痛みが不安な方には、静脈麻酔下で行う睡眠ジュベルックもあります。麻酔は第6章で詳しく触れます。
なお、PDRN製剤にも手打ちと水光注射の選択肢があります。それぞれの向き不向きは、[リジュランの水光注射と手打ちの違い・向いている人を解説した記事]にまとめていますので、あわせてご覧ください。
5-4. ジュベルックとリジュランの費用とペースを現実的に設計する
費用とペースの設計も、肌育注射の併用では避けて通れません。まずは規格の目安をお伝えします。
- ジュベルック:部分2cc/全顔4cc
- リジュランブラック:部分2.7cc/部分広め5.4cc
- リジュランi:目周り1cc
- リジュランS:1cc
肌育注射(スキンブースター)の主なメニューと料金は、次のとおりです。
| メニュー | 初回 | 通常 |
| ジュベルック部分2cc | ¥59,800 | ¥69,800 |
| ジュベルック 全顔4cc | ¥89,800 | ¥100,000 |
| リジュランブラック 部分2.7cc | ¥59,800 | ¥69,800 |
| リジュランi 目周り1cc | ¥49,800 | ¥59,800 |
| リジュランS 1本1cc | ¥49,800 | ¥59,800 |
| 睡眠リジュラン 部分広め5.4cc | ¥149,800 | ¥185,000 |
| 静脈麻酔/鎮静(院長実施) | ─ | ¥33,000 |
集中ケア期は複数回が前提です。施術回数をまとめた3回コースなら1回あたりの負担は下がります。ジュベルック部分2ccとリジュランブラック2.7ccは3回¥179,400、リジュランiとリジュランSは3回¥149,400です。施術間隔に沿って3回分を押さえておくと、予定も費用も見通しが立てやすくなります。
なお上記は税込・2026年8月時点の料金です。最新の料金は当院の料金ページでご確認ください。
費用設計で最も大切なのは、「一度に全部やらない」ことです。両方を同時に満額で始めると、費用もダウンタイムも一度に集中します。時間軸に沿って段階的に組めば、どこで何が効いたのかも判断しやすくなります。持続期間の異なる2つの施術だからこそ、ずらして重ねる意味があるのです。
第6章 ジュベルックとリジュランを受ける前に確認したい禁忌・ダウンタイムとクリニック選び
肌育注射を受ける前に必ず確認していただきたい点があります。ジュベルックとリジュランでは、受けられない条件が異なります。特にアレルギーの扱いは正反対と言ってよいほど違います。ダウンタイムと術後の制限もあわせて押さえておきましょう。
6-1. 受けられない人はリジュランとジュベルックで違う|アレルギーで明暗が分かれる
結論からお伝えします。魚・魚卵アレルギーのある方は、リジュランを受けられません。ポリヌクレオチド(PN)由来の成分を用いるためです。一方でジュベルックはポリ乳酸が主体のため、魚由来アレルギーによる制限はありません。
| 条件 | ジュべルック | リジュラン |
| 魚・魚卵アレルギー | 制限なし(ポリ乳酸製剤のため) | 受けられません |
| 妊娠中・授乳中 | 受けられません | 受けられません |
| 出血性疾患 | 受けられません | 医師にご相談ください |
| 自己免疫疾患 | 受けられません | 医師にご相談ください |
| 重度の糖尿病 | 受けられません | 医師にご相談ください |
| ケロイド体質 | 受けられません | 医師にご相談ください |
表のとおり、ジュベルックには固有の禁忌があります。妊娠中・授乳中に加えて、出血性疾患、自己免疫疾患、重度の糖尿病、ケロイド体質の方は受けられません。
そのほか、施術部位に活動性の感染や炎症がある場合は治癒後の施術になります。重篤な基礎疾患や免疫疾患をお持ちの方も、事前のご相談が必要です。
もう一つ見落とされやすいのが、他の美容施術との間隔です。1ヶ月以内にレーザーや注入などを予定している、あるいは受けたばかりの場合は、必ず事前に医師へお伝えください。同日や近接した日程で行えるかは、医師の判断になります。
6-2. ジュベルックとリジュランのダウンタイムと術後1週間の制限

ダウンタイムについては、当院では次のようにご案内しています。
| 症状 | 目安 | 対処 |
| 注入部位の腫れ | 数時間 | 通常は自然に落ち着きます |
| 針痕 | 2〜3日 | 翌日からメイクでカバーできます |
| 内出血 | 約1週間 | こすらず、気になる場合はメイクで隠す |
| エンボスの跡 | 数日〜1週間程度 | 自然に平坦化するのを待つ |
表の目安に加えて、施術後1週間はサウナ・顔面のマッサージ・激しい運動を避けてください。血行が過度に促されると、内出血などのダウンタイムが長引きやすくなるためです。湯船での入浴も1週間程度は控えめにしていただいています。
一方で、日常生活の制限はそれほど厳しくありません。シャワーは当日から可能、洗顔とメイクは翌日から可能です。針痕が気になる期間も、翌日からメイクでカバーできます。
注入直後の一時的なふくらみ、いわゆるエンボスの跡は、数日から1週間程度で平坦化します。「しこりが残らないか」というご不安をよくうかがいますが、鍵は注入する深さと量のコントロールです。適切な層に適量を置くことを何より重視しています。
【施術を受けた患者さんの感想】「翌朝は少しぼこぼこして見えて焦りましたが、3日ほどでほとんどわからなくなりました」。こうしたご感想は多くいただきます。経過には個人差がありますので、気になる変化は早めにご連絡ください。
6-3. 痛みと麻酔|リジュランの施術時間と睡眠麻酔という選択肢
痛みについても正直にお伝えします。リジュランの痛みの目安は5段階中5、施術時間は75〜90分程度で、決して「痛くない施術」ではありません。
基本は麻酔クリーム(表面麻酔)です。それでも不安が強い方のために、当院では睡眠麻酔(静脈麻酔・鎮静)をご用意しています。院長である私が麻酔科の知識と経験をもとに管理しており、眠っているあいだに施術を終えていただけます。
メニューとしては睡眠リジュラン、睡眠ジュベルックという形でご案内しています。痛みが怖いという理由だけで必要な施術をあきらめるのは、もったいないことです。不安はカウンセリングでそのままお伝えください。
6-4. ジュベルックとリジュランの両方を扱う医師に相談すべき理由|中立性と薬剤の真正性
最後にクリニック選びです。私は、ジュベルックとリジュランの両方を扱う医師に相談することをおすすめします。
これは他院を批判する話ではなく、構造の話です。片方しか扱っていない院では、どうしても「扱っているほう」が第一選択になりやすい。悪意の有無ではなく、選択肢が最初から限られているためです。「時間軸で設計する」という考え方は、両方が手元にあって初めて成立します。
もう一点、薬剤そのものの信頼性も確認してください。当院では患者さんの目の前で薬剤を開封し、正規品であることをご自身の目で確かめていただいています。
カウンセリングでは、次の点を確認してみてください。
- ジュベルックとリジュランの両方を扱っているか
- なぜその製剤を勧めるのか、理由を説明してくれるか
- 何回で、どのくらい効果が持つのか(持続期間)を具体的に示してくれるか
- 自分の持病やアレルギーが禁忌に当たらないか
- 腫れや内出血が長引いたときの対応はどうなっているか
クリニック選びで迷った経験のある方は、[リジュランの失敗例と後悔しないクリニック選びをまとめた記事]もあわせてご覧ください。
第7章 ジュベルックとリジュランの選択でよく寄せられる疑問
ここでは、肌育注射であるジュベルックとリジュランの選択にあたって、実際に患者さんからよくいただくご質問にお答えします。
7-1. ジュベルックとリジュランはどちらが痛いですか?麻酔は使えますか?
痛みの感じ方には個人差が大きく、一概にどちらが痛いとは言い切れません。リジュランの痛みの目安は5段階中5で、決して軽いものではありません。PDLLA製剤も針で注入しますので、相応の痛みは伴います。ただし、いずれも麻酔クリーム(表面麻酔)が基本で、希望される方には睡眠麻酔(静脈麻酔・鎮静)もご用意しています。痛みが理由で迷っている方は、まず麻酔の選択肢から相談してみてください。
7-2. 同じ日に両方受けられますか?ジュベルックとリジュランの順番は?
同日に受けられるかどうかは、肌の状態と量を見たうえでの医師判断になります。順番の基本は、肌が荒れているならリジュランから、凹凸が主訴で期日に余裕があるならジュベルックからです。一律の正解はなく、診察で決めるものだとお考えください。
7-3. リジュランの施術後、シャワーやメイクはいつからできますか?
シャワーは当日から可能、洗顔とメイクは翌日から可能とご案内しています。針痕が気になる場合も、翌日からメイクでカバーしていただけます。ただし、施術部位を強くこするのは避けてください。ダウンタイムを短く感じられるかは、最初の数日の扱い方でも変わります。
7-4. ジュベルックは何回受ければ効果が出ますか?1回だけでも変化はありますか?
ジュベルックは1ヶ月おきに計3〜4回、リジュランは2〜3週間おきに計4回が集中ケア期の目安です。いずれも1回で完結する施術ではありません。特にPDLLA製剤は、線維芽細胞が動き出すまで時間がかかるため、1回目で大きな変化を感じにくく、効果の実感時期は先になります。回を重ねるほど土台が積み上がる施術だとお考えください。
7-5. ジュベルックとリジュランの効果を実感できないのはなぜですか?
最も多い原因は、時間軸のズレです。ポリ乳酸(PDLLA)がコラーゲン生成を促すジュベルックは2〜3ヶ月かけて効いてきますが、1ヶ月で判断すれば「効かなかった」という結論になります。次に多いのが、ゴール設定のすり合わせ不足です。凹凸を埋めたかったのか、うるおいがほしかったのか。目的が曖昧だと、効果が出ても実感につながりません。
【ドクターの本音レビュー】私が診てきた中で残念に感じるのは、あと1〜2回で見えてきたはずのところで中断されるケースです。効果の出方には個人差がありますが、少なくとも設計した施術回数を完遂して評価していただきたい、というのが正直な気持ちです。
7-6. 目の下のクマや首にもリジュランは使えますか?
目元はリジュランi、首はリジュランブラックが適応部位です。ただし、クマは種類によって対応が変わります。黒クマ(影クマ)のように影が原因のものと、摩擦や乾燥、メイクの落とし残しによる色素沈着が主因のものとでは、選ぶ施術が違います。影が主因なら当院ではヒアルロン酸注入やボルニューマ・ウルトラフォーマーMPT、色素が主因ならルメッカが候補です。まずは診察で、どのタイプのクマかを確認するところから始めましょう。
7-7. ジュベルックの施術後、サウナ・運動・お酒はいつから可能ですか?内出血はいつ消えますか?
サウナ・顔面のマッサージ・激しい運動は施術後1週間避けてください。湯船での入浴も1週間程度は控えめにしてください。飲酒も血行を促しますので、当日は避け、数日は控えめにされるのが無難です。内出血は約1週間で目立たなくなるのが目安ですが、出方には個人差があります。
7-8. ジュベルックにしこりが残ることはありますか?
注入直後の一時的なふくらみ、いわゆるエンボスの跡はダウンタイムの一部で、数日から1週間程度で平坦化していくのが一般的です。ただし、注入する深さや量が適切でない場合、しこりのような手触りが残ることもあります。「絶対に起きない」とは申し上げられませんが、だからこそ深さと量のコントロールが重要です。気になる場合は放置せず、担当医にご相談ください。
まとめ:ジュベルックとリジュランは「どちらか」ではなく「時間差で組む」もの
ここまで読んでいただいた方には、もう答えが見えているのではないでしょうか。同じ肌育注射でも、リジュランとジュベルックは優劣で並べるものではありません。早く効くものと長く残るものという、時間の役割分担なのです。
リジュランは2〜3週間おきに計4回で立ち上がり、持続期間は3〜5ヶ月。ジュベルックは1ヶ月おきに計3〜4回で、2〜3ヶ月かけて効いて12〜16ヶ月残ります。長さも波の形もまったく違う2本の時間軸です。だからこそ、どちらを先に置き、どこで併用するかで、1年の見え方が変わります。
持ち帰っていただきたいのは、次の3つの問いです。
- いつまでに変化がほしいのか
- 何を(毛穴か、ニキビ跡か、小じわか、クマか、肌質改善か)変えたいのか
- どのくらいその状態を持たせたいのか
この3つに答えられれば、製剤選びの大部分は終わっています。残るのは、肌を実際に診なければ決められない部分です。
最後に、ぜひ一度試していただきたいことがあります。手帳やスマホのカレンダーを1年分開き、ポリヌクレオチド(PN)由来のPDRN製剤の短い波とポリ乳酸(PDLLA)製剤の長い立ち上がりを、実際の予定の上に線として引いてみてください。旅行、撮影、式、繁忙期。2本の線を重ねた瞬間、「どっちがいいのか」という問いは「いつ、どちらを先に始めるか」という日付の問題に変わります。その1枚を手にご相談いただければ、あとは線維芽細胞が動く速さとPDRNが届く速さに合わせて日付を埋めるだけです。
ソワン美容皮膚科クリニック表参道院
院長 小平智文
Instagram: https://www.instagram.com/soinbeautyclinic/



